鉄板神社 社長 田中寿幸様 特別インタビュー

カネなし×コネなし×経験なし

ゼロから年商約10億円を稼ぐ男の心意気と戦略


――すべてがゼロからのスタート。創業時の苦労や工夫とは?

「失敗するくらいなら死んだほうがマシ」と限界値まで思考力を上げた

福井の田舎出身の俺にとって、大阪は未知の場所でした。友だちはおろか知り合いもブレーンとなる人物もおらず、修行も皿洗いを1年程度やっただけの状態。知識もなく事業計画もゼロ。すべてがゼロの状態でオープンしたらお客さまもゼロ。

考えた結果、初めてやった戦略が『お客さんが来るまで帰らない』。この戦略と呼べるかわからない無謀なチャレンジを始めました。

オープンは17時ですが、市場に行くのは13時。14時から3時間で仕込んでオープン。『来るまで帰らない』ので、お客さまが来るまでは、朝の6~8時になっても「俺は負けない」と店を開け続けました。

ミナミは朝5時くらいにだいたいのお店がしまるんです。5時を過ぎたところで「どこも開いていないから」と、チラホラお客さまが来られるように。その2、3人をゲットするために朝7~8時まで、遅い時は朝10時くらいまで開ける日もありました。来店いただいた方は全部受け入れる精神でしたので、何時まででもやりました。

帰るのが10時なら、仮眠をとってまたやる感じ。例えではなく、文字通り『死ぬか生きるか』のせめぎあいでしたね。

だから本当にもう、よく倒れていました。過労というのは痙攣を起こすんでね。痺れて、3回くらい救急車で運ばれました。呼吸も荒くなって死ぬ寸前まで行きました。病院で点滴を打ち、昼には点滴を引きちぎって出勤して開店準備。「何とか生き延びた」という感覚が強いです。

最初はそれほど集客に苦労していたのですが、半年ほどすると、朝にポツリポツリとお越しいただいていたお客さまがクチコミで「あそこの店いいよ」「あの兄ちゃんおもろいで」と言っていただけ、お客さまは徐々に増えていきました。

何もない、本当にゼロのところからはじめてきて、だんだんと扱う金額が大きくなって新規店をだす時も、既存店の売り上げは順調だったので、怖いと思ったことはありませんでした。

支えてくださるお客さまのおかげで、俺の恐怖心は払拭されていると思います。

「命がけ」というのは決して例えではなく、本当に覚悟を持って死ぬ気でやれば、失敗しないというのが哲学としてあります。下手したら死ぬかもしれないのに、そこに本当にチャレンジできるかどうか。俺は「そこで倒れて死んだらそれまでの男やったということや」という覚悟でやっていました。「負けてたまるか」となにくそ根性でここまできました。

この強い気持ちを、本当は若い日本人に伝えたいですね。

「おいしい」は他の店でも味わえるけど、鉄板神社にしか『田中寿幸』はいない。田中社長の「愛される接客」とは?

空気を読む究極の接客でお客さまの心をつかむ

接客は、たぶん生まれつきフリートークが面白かったんです(笑)。お客さまとのフリートークが苦なくでき、喜んでもらえました。気に入られるタイプだったんですね。トークのおもしろさだけでなく商人としての愛嬌、笑顔、人となりもあったと思います。「おまえ、おもろいな。おまえがおるから来たるわ」というお客さまで満席になっていきました。

最高の接客は『空気を読む』ことだと思っています。品よく、ていねいに、マニュアルにしたがってそつなくおこなう、有名なホテルや高級飲食店の接客は、俺からしたら誰でもできると思うんです。

回転の激しい当店で1日に200~300人ものお客さまの相手をするときには、本当にいろいろな人がいらっしゃいます。全部マニュアル通りの同じ接客だと「全然おもろないやんけ」ということに。当店ではお客さまに合わして接客を変えています。

その際に大事なのは「活気ある感じが好きなのか」、「どんどんしゃべってほしいのか」、「そっとしておいてほしいのか」など、相手はどういう性格で何を求めているのかを考える、感じる、見抜くということです。一言二言発した時の、相手の顔の表情、目、しぐさなどからそれらを読みます。一人一人にジャブを打ったときの返しによって、空気を読んで進めていくのです。

接客の中で一番ハイレベルなものは、「お連れさまによっては常連扱いをしないほうがいいときもある」と理解すること。お客さまのプライバシーに触れそうな部分は、見て見ぬふりをするのも心遣いです。

些細なところもきちんと見ている。それが鉄板神社の接客です。例えばお客さまが薬を持っていらっしゃったら、頼まれる前に水を出します。「なんでわかったの?」と驚かれますが、お客さまに「言う前なのに、なぜ気づいたの?」と驚いていただくことが最高の接客です。それに気づけるかどうかです。

今も朝8時までお店を開けられているのは、創業時の名残ですか?

開店時に苦労したこと、うまくいかなかったときにやって、結果を残したことが執念から生まれた戦略として今にもつながっています。
「あ、朝6時からでもお客さんが入るんだ」というのは、やらなければわからないこと。商売というのは水ものだから、マニュアルだけでは進まないのです。やってみないと分からない」。やったときに大事なのは、やって戦略を考えるということです、なぜうまくいくのか。なぜうまくいかないのか。それを勉強することが大事。やる前にいろいろ言っても仕方ない。本当はあたったかもしれないのに、「やめとことか」となったりする。なのでうちは、やってみて、やりながら上げていくというスタイルが多いです。

――一定の地域で集中展開するという、普通は難しいドミナント方式が成功している理由は何でしょう。

長い間住んでいる地元民ならではの絶妙な感覚

近いエリアにドミナント出店するのは、気をつけないと失敗します。

いつもにぎわっている満席の店でも、もう1店舗出店してお客さまが分散すると、活気が減ったり「いつもより暇だな」と感じさせたりしてしまうことがあります。それがお客さまの脳に残ると、どんどん負のイメージがついて「いつも暇やな」「いつでも入れるやん」と思われてしまうのです。そして段々その通りになって、つぶれてしまう店が多いのです。

満席で活気があることは、一番の宣伝効果なのです。並んで入る満足感と、「すごいなココ!」という感動は脳に残ります。ですからドミナント出店は、本当はタブー。うちはただのドミナントではなく、お客さまの層が違うところに絶妙な立地で出店し、成り立っています。

例えば本店は飲み屋街の中にあります。なので、飲み屋街の中ももう1店舗出すのは危険。でも、3分ほど離れた道頓堀は観光地。客層が違います。千日前も難波も街の雰囲気が違う。それが絶妙なんです。

地場の人間にしかわからない。だから俺らが東京に行くときに気をつけないといけないのは、一筋違うだけで痛い目にあうということ。それも、まぁ、やってみないとわかりませんが。

――『鉄板神社』というブランドは、大阪の道頓堀では多くの方が認知していますが、会社として大切にしている原点を教えてください。

「妥協しない」という強い気持ちがスタッフ教育には大切です

最初の頃は、俺が現場にいて自分がやっていることを見せ「この場面ではこうやる」とタイムリーに共有し随時細かく言えばよかったので、スタッフの教育は簡単でした。俺の研修を受けて、次は店長が同じことをする。だから、伝える力というのがありました。

今は会議の量と従業員とのコミュニケーションの数で賄っています。教育は、それにかける時間の長さ「どれだけ伝えるか」で答えがでると思います。

「今の子はあかん」と言って教育をあきらめている飲食店ばっかり。「注意したらやめてしまう」と思って、妥協しない気持ちが一番大事です。芯が通る理念があれば、それを常に伝え続けると熱意も伝わります。うちの従業員には伝わっていると思います。俺からしたらまだまだですが、他の飲食店よりはできていると思っています。

うちは「飲食店の接客サービス」とかではなく、心の教育しかしない。「いい日本人」づくりをしています。その中で「ただの労働者にはなるな」と教えています。そんな人生は終わりです。

労働者は、時間が長いだのなんだの言いたくなる。時間が来たから出勤して、いやいややって時間来たから帰るというふうになると人生終わりでしょう。だって週に5~6日がいやいや働く時間で、寝ないといけないので遊ぶ時間はほんの少しなんですよ。そこを楽しみに生きるより、仕事自体が楽しいものであれば、人生最高。働いている時間が人生で一番長いから。

俺自身は特に休日を決めていませんし、「休みたい」とか「今日は休みだ」という感覚があまりないですね。仕事を遊びにするような心掛けが大事。そうなったら人生は楽しい。だからあんまりプライベートの遊びに俺は興味ない。パリ、イタリア、ローマなどに視察に行きますが、そういうのを仕事で行っているのが最高にいい人生やと思っています。そういうことをもっと教えたいですね。

だから「いい仕事をする」と教えるのはあたり前だけど「いい人生にする」ことも教えないといけないんです。鉄板神社ではそこまでのことをします。

サービス業は人を喜ばせる仕事。笑顔も必須。愛嬌も必須。それらを磨かないといけません。そして、人が働いていないときに働くのがサービス業。自己犠牲も必要です。もちろん自分の休日は大事ですが、祝日の3連休を休みたい方には、サービス業は向きません。教育にはコミュニケーションと言葉の強さが大事です。「なぜ」これをしないといけないのかと、しっかりした理由がないと今の子たちは「そんなこといわれても……」と動かないです。でも、理由をきっちり伝えたら、理解して動いてくれます。

―――スタッフとはどういうコミュニケーションを心掛けていらっしゃいますか。

普段はおもしろい社長。でも、現場では徹底的に妥協しない社長という姿を見せています。あとは……人生相談にのります。「どんな質問でも3秒で解決できるから相談してこい」と言って。恐れ多いのか、なかなか相談してこないけど(笑)。社長との距離が近い、アットホームな環境をつくっています。

―――飲食店は「大量に入れて、その中で残っている人がいい」という考え方で、昔も今も同じ採用計画にしているところが多いようですが。

うちは、昔と今では考え方も採用方法も全然変わっています。昔は、はっきりいって根こそぎ入れて、入れてから鍛えるという考えでした。でも、価値観の違う人間を入れると問題ばかり起きて教育する従業員が困るので、今は採用基準を絞っています。そうしたら問題は起きなくなりました。

―――ホールと経営戦略部門は分けての採用ですか?

一律にしているので、会社の成長はゆっくりなんです。会社をスピードよく進めようと思ったら、大手のやり方や有識者を入れるようにすればいいのだと思います。そうしようかと途中で迷ったこともありますが、「俺はそれはやらない」と決めました。

今の経営戦略部門の人間は、現場も経験している一番最初からのヤツです。最初の苦労した時から来た人間を大事にしています。うちが大企業になろうとしたとき、もしそいつらの能力なくて大企業になれなかったら、それはそれでいいという話です。そいつらの能力を上げられなかった俺の責任。

大手からいい人材を入れて売り上げが10億から50億にパッと上がったとしても、そういうヤツは去っていくので長続きしない。地場からやってきた人間はわかっていてやっているので、50億にいきたければそいつらを育てるしかない。

道というか、「何のためにやっているのか」というのが一番大事です。何のために50億にいくのかというのも大事。俺はイチからやってきたやつを大切にしたいし、「急成長は必ず滅びる」と思っているので、しっかりとした企業戦略で「低成長」を目指しています。

『鉄板神社』は、訪日外国人にも人気ですが、その秘訣は何でしょうか?

「言葉は通じなくても、心は通じる」を証明しただけ

外国人観光客が来だした頃、他店では「言葉が通じない」「行儀が悪い」「時間がかかる」と嫌がって断ったり蔑ろな接客をしたりしていました。その時期に「日本人も外国人も平等にしっかりとしたサービスの提供と接客をするのが商人。区別するな、差別するな」と心ある仕事をしただけです。するとクチコミとSNSで勝手に広がりました。遠いところからわざわざ来てくださっているんです。もてなすのがあたり前。
うちは、商人の心意気を見せただけです。

訪日外国人の受け入れで苦労されたことは?

まず文化が違うので、飲食店へ普通にたこ焼きを食べながら入ってきたりします。(笑)
悪いと思ってないからね。「それはダメ」とお客さまの教育をしないといけないところは、まぁ大変でしたね。「お突き出し」文化もないので、「頼んでないのにお金を取られる」となります。それをていねいに交渉して納得させないといけないです。まぁ、それくらいです。

説明するときに最初は言葉が通じなくて困りましたが、すぐに戦略として、外国人用に写真が豊富に載った、わかりやすい英語と中国語のメニューを作りました。自分で書いてもらうタイプの注文シートも作りました。全部工夫して接客しているうちに、しゃべらなくても伝わる仕組みを作りました。プラス、今は喋れるスタッフもいます。

ー日本美食 Walletを導入することになった経緯を教えてください。

今までの決済系アプリは、特典があっても操作が面倒くさかった。日本美食Walletは、アプリをダウンロードしなくてもブラウザに飛ぶので手軽。請求金額を入力して店員に見せ、OKならすぐ決済ができます。

店舗は本当に忙しいので、「ややこしいことは便利でもしない」というのが今までのスタイルでした。日本美食Walletは、スムーズな操作で従業員に負担がないのが導入を決めたポイントでした。

ポスレジも入れなくていい、固定費もランニングコストもかからない、決済手数料も安いとくれば、何もデメリットがない。メリットしかないんじゃないですか。

簡単にすぐ導入できて支払いのしやすさが増す、という効果がある。便利さでお客さまに喜んでもらえるし、お客さまが入りやすいので集客も増えます。導入の際の社員教育もやってもらえるので楽です。

また、「中国人の方を街中から集客しよう」というプロジェクトコンセプトで、アリペイの大きなのぼりも置けます。アリペイは95%くらいの中国人がダウンロードしているので、支払いもスムーズ。ブラブラしている中国人観光客をダイレクトに呼び込めるのがいいですね。

――今後、日本美食と連携した戦略での展望とは?

中国人観光客の来店を増やすこと

現状で来店される外国人旅行客は、韓国人の方が一番多いですね。客単価や特徴は、「●●人」というのでだいたい決まり、韓国人は低めで、中国人と日本人が同じくらい。客単価を上げるために、中国人観光客を呼びたいですね。

決済が簡単になるのもいいですが、日本美食がツアープランを組み、現地で募集、集客、決済まですまし、キャンセルのないパターン化した企画をやれるといいですね。「今日は予約何組」と明確で「お会計終わってますんで」とオペレーションが簡単な。
うまくパターンをつくれたら、もう1店舗出店してもいいくらいです。

日本美食には、海外向けプロモーションの部署もございます。

中国版食べログといわれる『大衆点評』の運用代行や、PR予算内でのツアー企画など。例えば観劇チケットを一括買取にて台湾の旅行会社に配り、1000人集客……というようなことも可能。代理店手数料は20%です。

――今後、日本美食に期待されることは?

当社のウィークポイントである「発信」面を強化してほしい。

うちのストロングポイントは「来店したお客さまが必ずリピーターになる」ところ。人間力重視なので。

反対にウィークポイントは「発信」。SNSもネットもとても弱いので、日本美食には「知らせる」「伝える」という面でサポートしてほしいですね。今まで、宣伝なしのクチコミだけでここまで繁盛させているので、外への発信がうまくいけば最強になるでしょう?

実は、店舗としての集客は「もう十分」というところに達していて、ピーク時間帯は嫌でも満席になります。ただ、それ以外のランチタイムや17~19時台、外国人の方が食事をされる21~22時台などを強化したいです。空いているともったいないからね。

――ありがとうございました。
導入店舗さまのお役に立てるよう、日本美食も益々精進していきます。

鉄板神社 様

http://www.teppan-jinjya.com/

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